Porcs Study Note Vol.1 身体活動量は座位時間を減らすことも重要
Porcs Study Note Vol.1 身体活動量は座位時間を減らすことも重要
心臓リハビリテーションにおいては身体活動量を上げることは大事な目標です。
今ではスマホで万歩計機能がついているので、毎日の活動量の指標にすることが多いです。
しかし、極端に言えば毎日1時間かけて6000歩歩いているとしても、残り23時間を座ったまま、横になってばかり過ごしていてはそれは活動的な生活とは言えません。
このように、身体活動量というのは活動する時間・量を上げると同時に不活動の時間を減らすという事にも重要な意義があります。
座位時間が長いと心血管疾患や2型糖尿病の発症リスクが増大し、全死亡および心血管死亡のリスクが増大するとされています。
では、実際に活動量と座位時間が運動耐用能や各種筋力とどれくらい関係しているのか調べてみました。
1. 研究デザインと方法
今回参考にした文献はこちら。
田中千春他:維持期心疾患患者における身体活動の特性と体組成および運動耐容能の関連
.心臓リハビリテーション 26(2): 264-271, 2020.
維持期外来心臓リハビリテーション患者に
国際標準化身体活動質問票(International Physical Activity Questionnaire;IPAQ)
という質問紙法で身体活動量を調査し、心肺運動負荷試験、握力、体組成(Inbody)を測定し関係性を調べています。
対象は220名、平均年齢71歳、基礎疾患は様々です。
2. 結果とそこから考えられること
まず、IPAQの結果です。
IPAQは質問紙法であり、活動量計ではないメリットとデメリットがありますが、今回の結果では男性の方が総活動量は多く、座位時間は男女で有意差はないという結果でした。
ちなみに、この文献の中で述べられているのですが、
この傾向(男性の方が活動量が高い)は国民健康調査でも同様
だそうです。
座位時間については先行研究では平均486分であったとの報告があり、40分程少ない結果となっています。
母集団が外来心臓リハビリテーションに参加している方なので、そのバイアスの影響かと考えられます。
理由はわかりませんが、この世代の男女では役割が明確に違うことも影響しているかもしれません。
家事全般を女性が担うので男性は時間があまり、その分を運動に費やしているのかもしれません。
次に、IPAQと相関のある因子を検討しています。
このような結果となっています。
ここで興味深いのはATとPeakVO2がそれぞれ別に相関関係を示していることです。
どちらも運動耐用能を示す指標ですが、意味合いが違うということがわかります。
文献の中では
PeakVO2は酸素輸送能の指標
ATは酸素利用能の指標
と記載があります、ちょっと興味深いのでまた調べていこうと思います。
3. まとめ
今回の結果から何をどう考えるのか、いろいろな視点があると思います。
地域特性もあると思いますが、今の70-80代は男性は比較的活動量が高い傾向にあり、家事に追われる女性は家事レベル以上の活動量が少ない傾向にあるようです。
男性は生活習慣、女性は活動量に重きを置くのも一つの方法かもしれませんね。
いずれにしても、どうしても活動量にばかり行きがちな視点を変えることが大切だと思います。
座位時間については様々な研究がされているので、また取り上げたいと思います。
本日の内容は以上となります。
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